制度と単価
太陽光の初期投資支援スキーム、24円は4年だけ|10年の売電額を試算+見積もり前に確認する7項目
公開・内容確認:2026年10月31日 / 運営:AI Mediaz
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この記事の結論
- 住宅用(10kW未満)は、2025年度下期以降の認定で「1〜4年目24円・5〜10年目8.3円」。2026年度もこの価格で、2027年度も同じ24円・8.3円のスキームと公表されています。適用条件は最新の公表資料で確認してください。
- 4kW・自家消費30%で試算すると、10年の売電収入は約48万円。旧15円×10年(約49万円)とほぼ同じで、違いは「最初の4年に約3分の2が入る」前倒しです。
- 見積もりでは「24円が10年続く計算になっていないか」と「5年目以降の自家消費の増やし方」を確認しましょう。蓄電池が効いてくるのは5年目以降です。

太陽光の初期投資支援スキーム(24円・4年)とは?
初期投資支援スキームは、屋根に載せる太陽光の導入を後押しするため、国が2025年度下期の認定から始めた買取価格の仕組みです。資源エネルギー庁の資料では、利息負担を抑えて投資の回収を早めることがねらいとされています。
ポイントは「階段型」の価格です。住宅用(10kW未満)では、調達期間10年のうち最初の4年間は1kWhあたり24円、5年目から10年目は8.3円で電気を買い取ってもらえます。
| 区分 | 1〜4年目 | 5〜10年目 | 調達期間 |
|---|---|---|---|
| 住宅用(10kW未満)・初期投資支援スキーム | 24円/kWh | 8.3円/kWh | 10年 |
| 住宅用・従来(2025年度上期の認定まで) | 15円/kWh | 15円/kWh | 10年 |
| 参考:事業用・屋根設置(10kW以上) | 19円(〜5年) | 8.3円(6〜20年) | 20年 |
国はこの価格設定を、国民の負担を増やさない形で回収を早める設計と説明しています。つまり「10年でもらえる総額を大きく増やす制度」ではなく、「同じくらいの総額を前に寄せる制度」と理解するのが実態に近いです。
価格の詳しい区分は「2026年度の住宅用太陽光FIT価格」にもまとめています。
初期投資支援スキームは何年度の認定まで対象?
2026年10月31日時点で、公表資料から読み取れるのは次のとおりです。
| 認定の時期 | 住宅用の価格 | 状況 |
|---|---|---|
| 2025年度上期(4〜9月) | 15円×10年 | 決定済み(従来の価格) |
| 2025年度下期(10〜3月) | 24円(〜4年)/8.3円(5〜10年) | 決定済み |
| 2026年度 | 24円(〜4年)/8.3円(5〜10年) | 決定済み(2025年度下期にも同じ価格を適用) |
| 2027年度 | 24円(〜4年)/8.3円(5〜10年) | 2026年3月19日の経産省発表で公表済み |
| 2028年度 | — | 未定(公表資料で確認できず) |
| 2029年度〜 | 「支援期間の短縮」へ切り替え | 算定委員会の意見で「2029年度開始を基本」とされた方針段階 |
注意したいのは、価格は「工事した日」ではなく「FIT認定を受けた年度」で決まる点です。2027年度分は最新の発表、2028年度以降は今後の調達価格等算定委員会での議論を、資源エネルギー庁のページで確認してください。
従来の15円と比べて、10年の売電収入は増える?減る?
結論から言うと、10年の合計はほぼ同じで、わずかに少なくなります。4年目までに多く入り、5年目から大きく下がるためです。
以下はPythonで計算した試算です。
試算の前提
- 年間発電量:容量(kW)×8,760時間×設備利用率13.7%(調達価格等算定委員会の住宅用の想定値)。4kWで1年目約4,800kWh、5kWで約6,000kWh
- 発電量の劣化:毎年0.5%ずつ減る(本記事の仮定)
- 自家消費の価値:27.45円/kWh(算定委員会の想定値。実際は契約している電気料金で変わります)
- 自家消費率:30%を基本(算定委員会の想定は余剰売電比率70%=自家消費30%)。50%・70%も比較
- 補助金・設置費・メンテナンス費は含めない「収入側だけ」の計算
10年間の売電収入(円)
| 容量・自家消費率 | 新スキーム 1〜4年目 | 新スキーム 5〜10年目 | 新スキーム 10年計 | 旧15円 10年計 |
|---|---|---|---|---|
| 4kW・30% | 約32.0万 | 約16.2万 | 約48.2万 | 約49.3万 |
| 4kW・50% | 約22.9万 | 約11.6万 | 約34.4万 | 約35.2万 |
| 5kW・30% | 約40.0万 | 約20.2万 | 約60.3万 | 約61.6万 |
| 5kW・50% | 約28.6万 | 約14.5万 | 約43.1万 | 約44.0万 |
4kW・自家消費30%の場合、自家消費で電気を買わずに済む分(10年で約38.7万円)を足すと、合計の経済効果は約86.9万円。旧15円の場合(約87.9万円)との差は約1万円です。
一方、最初の4年に売電収入の約3分の2(約32万円)が入ります。ローンを組む家庭なら、初期の返済が楽になる効果は小さくありません。自家消費率で結果がどう変わるかは「自家消費率で回収年数はどう変わる?」も参考にしてください。
5年目から8.3円になったら、何が変わる?
5年目以降は、売るより使う方が圧倒的に有利になります。8.3円で売る1kWhを自宅で使えば、約27円の電気を買わずに済むからです(上の想定値の場合)。
反対に、1〜4年目は24円で売れるので、売っても使っても差は1kWhあたり約3円しかありません。「4年目までは売電、5年目からは自家消費」に頭を切り替えるのが、このスキームの基本的な付き合い方です。
5年目以降に自家消費を増やす方法は、たとえば次のとおりです。
- 洗濯・食洗機・エコキュートなどを昼間の運転に寄せる
- 蓄電池で昼の余りを夜に回す
- 電気自動車がある家なら昼間に充電する
蓄電池と組み合わせると得?いつ入れる?
蓄電池が効くのは5年目以降です。
蓄電池は充電・放電で少しロスが出ます。仮に効率90%とすると、1〜4年目に24円で売れる電気を蓄電池に回しても、得になるのは1kWhあたり1円未満です。5年目以降は8.3円の売電を自家消費に回す形になり、1kWhあたり約16円の差になります(いずれも本記事の仮定による概算)。
このため、考え方は大きく2つです。
| 考え方 | 向いている家庭 | 注意点 |
|---|---|---|
| 太陽光と同時に蓄電池も入れる | 停電対策を重視する/同時工事で工事費を抑えたい/補助金の条件が同時設置 | 1〜4年目は経済効果が小さい |
| 太陽光だけ先に入れ、5年目前後に蓄電池を検討 | 費用を抑えたい/価格の下がり方を見たい | 後付けで機器の相性・工事費を再確認する必要 |
なお、資源エネルギー庁の資料(FAQ)では、階段型価格の案件は「調達期間中に特定契約によらない売電を行うことができない」条件付きの認定になるとされています。つまり、FITの外での売電(いわゆる非FITへの切り替え)はできません。「途中で高く買う会社に乗り換える」前提の計画は立てないようにしましょう。蓄電池で元が取れるかの計算は「蓄電池は元が取れる?」で詳しく扱っています。
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初期投資支援スキームで太陽光はいつ設置するのが得?
「何年度に認定を受けるか」で考えるのが基本です。
- 2026年度(〜2027年3月)の認定:24円・8.3円で確定。年度末ぎりぎりの申込は、認定が翌年度にずれ込まないか業者に確認しましょう。
- 2027年度の認定:初期投資支援スキームと公表済み。最新の価格は資源エネルギー庁で確認してから判断します。
- 2028年度以降:未定。2029年度からは「支援期間の短縮」への切り替えが基本方針とされていて、仕組みが変わる可能性があります。
ただ、10年の収入は旧15円とほぼ同水準なので、「制度が終わる前に急いで契約すべき」と言える差ではありません。実際の損得を大きく左右するのは、買取価格よりも設置費用、屋根の向き・影、自家消費率です。「今月中に契約すれば24円」といった急かす営業には、いったん持ち帰って比較しましょう。
見積もり前に確認するチェックリスト(7項目)
- [ ] 見積書の売電単価が「1〜4年目24円・5〜10年目8.3円」になっている(24円×10年で計算していない)
- [ ] FIT認定の申請予定日と、どの年度の価格が適用される見込みかが書面にある
- [ ] 年間発電量の根拠(地域・方位・傾き・影)と、劣化を見込んでいるかが明記されている
- [ ] 自家消費率の前提(何%か)と、使っている電気料金の単価が書かれている
- [ ] 11年目以降(卒FIT後)の売電単価を何円で置いたかが分かる
- [ ] 蓄電池を含む場合、太陽光だけのケースと分けた試算がある
- [ ] 補助金を差し引く前と後の金額が両方書かれている
蓄電池を含む見積書の読み方は「蓄電池の見積書チェック」でも詳しく解説しています。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 初期投資支援スキームは申し込みが必要ですか? 別途の申し込み制度ではなく、対象年度にFIT認定を受けた住宅用太陽光に、この価格が適用されます。認定手続きは販売・施工店が代行することが多いので、どの年度の価格になるかを業者に確認してください。
Q2. すでに15円で認定を受けた家も24円になりますか? 価格は認定を受けた時期で決まります。2025年度上期までに認定を受けた案件は従来の15円×10年です。個別の扱いは資源エネルギー庁の窓口に確認しましょう。
Q3. 11年目以降はどうなりますか? FITの買取期間が終わり、いわゆる「卒FIT」になります。単価は電力会社などの買取プランで決まります。算定委員会は調達期間終了後の売電価格を10.0円/kWhと想定していますが、実際のプランは各社で異なります。
Q4. 途中で別の会社に売電先を変えられますか? 資源エネルギー庁の資料(FAQ)では、階段型価格の案件は調達期間中に特定契約によらない売電(FIT外の売電)ができない条件付きの認定になるとされています。10年間はFITの価格で売る前提で計画し、FITの枠内で買取先を変えられるかどうかは、個別に資源エネルギー庁や電力会社に確認しましょう。
Q5. 10kW以上の太陽光も同じ価格ですか? いいえ。事業用・屋根設置(10kW以上)は1〜5年目19円・6〜20年目8.3円で、期間も20年と住宅用とは異なります。
Q6. 試算の数字はそのまま信じてよいですか? 本記事の試算は、国の想定値と仮定に基づく目安です。実際の発電量・電気料金・設置費で結果は変わるため、契約前は複数社の見積もりと、必要に応じて専門家への相談で確認してください。
出典(確認日:2026年10月31日)
- 資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2026年度以降)」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/savingandnew/saiene/kaitori/fit_kakaku.html
- 資源エネルギー庁「屋根設置太陽光発電の初期投資支援スキーム」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/savingandnew/saiene/data/shokitoushi.pdf
- 経済産業省 ニュースリリース(2026年3月19日) https://www.meti.go.jp/press/2025/03/20260319004/20260319004.html
- 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(2026年2月5日) https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/20260205report.html /本文PDF https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/202602051.pdf
※本記事は制度の一般的な解説で、個別の契約や投資の判断を勧めるものではありません。最新の価格・条件は資源エネルギー庁の公式ページでご確認ください。
運営:AI Mediaz
参考資料
公開時の確認日:2026年10月31日。資料の公開日・対象時点は各リンク先をご確認ください。
費用と条件を分けて、ひとつずつ確かめよう。